旭川地方裁判所 昭和48年(わ)83号 判決 1973年7月17日
本籍および住居
旭川市六条西三丁目一、四八五番地の二一九
会社役員
米沢慶治
大正一四年三月二三日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官日浦力および弁護人小笠原六郎各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役四月および罰金二、〇〇〇、〇〇〇円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となる事実)
被告人は、旭川市三条通七丁目左六号においてパチンコ店「ダイエー会館」および喫茶店「G線」を経営しているものであるが、所得税を免れようと考え、両店の売上げ金の一部を除外してこれを仮名の簿外預金とする不正手段により、その所得の一部を秘匿し、
第一 昭和四四年分の総所得金額は二一、六八八、九〇〇円で、これに対する所得税額が七、八九四、一〇〇円であるのに、昭和四五年三月一三日、旭川市五条通一一丁目右一号の旭川中税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一一、六八一、一七二円でこれに対する所得税額が二、四二一、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、よって、不正の行為により所得税五、四七三、〇〇〇円を免れ、
第二 昭和四五年分の総所得金額は二〇、五三八、一〇七円で、これに対する所得税額が六、七九三、六〇〇円であるのに、
昭和四六年三月六日、前記旭川中税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一〇、三九九、四〇四円でこれに対する所得税額が一、一四八、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、よって、不正の行為により所得税五、六四四、九〇〇円を免れた。
(証拠の標目)
判示事実を通じて
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する各供述調書
一 被告人作成の上申書
一 検察事務官作成の昭和四八年六月一八日付報告書
一 米沢陽子の検察官に対する各供述調書
一 検察事務官受信取扱の昭和四八年六月一八日付電話聴取書
一 押収してある確定申告書綴一綴(昭和四八年押第三七号の1)
(法令の適用)
一 判示各所為 いずれも所得税法二三八条一項、二項、一二〇条一項三号
一 併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の懲役刑に法定の加重)、四八条二項
一 労役場留置 刑法一八条
一 懲役刑の執行猶予 刑法二五条一項
(裁判官 涌井紀夫)